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前田裕二

エンターテインメント × テクノロジーで、アジアから世界中に「夢中」を届ける

SHOWROOM株式会社 代表取締役社長
前田裕二

ある海外での旅の途中、東から西へ大陸を横断する青い寝台列車の中にいました。硬いシートの上で熟睡できずにウトウトしていると、どこからともなく少年が近寄ってきて、目が覚めました。見ると、足が不自由な様子で、懸命に、こちらに何かを訴えかけています。何を言っているかは分からないのですが、一通り喋り終えると、今度は両手を器用に使って、二つの棒でドラムの真似事を始めました。「自分は、足は不自由だけど、かわりに残された手を使って人を楽しませる事ができる。僕のパフォーマンスが良いと感じたら、お金を恵んで欲しい」。そう言われたのだと解釈して、その時持っていたお金を手渡しました。しかし、よほど眠りを邪魔された事が気に障ったのか、或いは階級社会の残痕か、周りにいた人達が怒って、少年を別の車両に追いやってしまいました。去っていく男の子の後ろ姿は妙に印象的で、何とも言えぬやりきれなさと共に、その映像が脳裏に焼き付いています。

あの時、彼に何か問題があったのでしょうか。私は、決してそうではないと考えています。

世界には、二種類の逆境があります。それは、努力で乗り越えていけるものと、本人の努力だけではどうしようもないもの。私が出逢った少年は、後者の境遇に置かれていたように思うのです。

彼のように、「より豊かな人生を生きていきたい」、「もっと表現したい」、「自分の可能性を解放したい」と強く願うのに、何らかの環境や制約条件によってそれが叶わない人が多く存在するならば。

そういった「夢中への制約」を取り払うことこそ、我々が担うべきミッションではないのか。

あの時、無我夢中でドラムを叩いてくれた彼の無垢で熱のあるパフォーマンスにテクノロジーの力が掛け合わさったなら。例えばその様子が世界中に生配信されていたなら。そこに、誰かの人生を一変するほどの夢中をもたらす、物凄いエンターテインメントが生まれたのではないか。そう思うのです。

私は、「夢中」という言葉が大好きです。夢中とは、夢の中、と書きます。そこには2つの意味が考えられます。1つは、自分自身が夢を持って夢中になる事。もう一つは、誰かの夢の中に入る事。誰かの夢が自分の夢になる、そんな「夢中」の在り方もあるのではないでしょうか。あの男の子に感銘を受けて、彼のように人に勇気を与えるんだと、舞台に立つ夢を持つのも一つの夢中の形。同時に、彼の夢の中に入って、その夢が叶うと信じて、夢への道中を共に歩むのも、また一つの夢中の形。我々人間は、そんな「夢中」という至高の瞬間を少しでも多く味わうために、生まれてきた、とさえ思います。

あらゆる人が、好きな事に夢中になるチャンスを得て、夢の共感者たちと共に、決して平坦ではない努力の道を歩み、最後には本当に、夢まで叶えていく。そんな、フェアで温かい世の中を創ることが、SHOWROOMの経営理念であり、存在意義です。この理念を具現化すべく、旧来のエンターテインメントに新しいテクノロジーを掛け算して、アジアから世界に向けて、あらゆる色や形をした「夢中」を、全力で届けて参ります。

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